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にある府県は、こうした水平的、垂直的な政府間関係の結接点にある存在であり、いったん切り離された政府間の関係を取り結ぶ重要な機能が期待されていると考えられる。その実態的な必要性については、政府像に関して述べたところである。
ただし、いずれも非権力的な手法によって、相手方の合意、協力の範囲内で実施すべきものであり、いわゆる統制、指示、指導といった要素を含まないものとすべきである。その点で、現行の自治法にいう「連絡調整」事務が府県の指導的な地位に基づく勧告、指導等を含むとすれば、ここでいう調整機能とは異なる。
では、なぜこうした機能を府県機能のひとつとすることができるのか。問題は、市町村と対等の自治体たる府県がなぜこうした機能を有しているのかに関する制度的、理論的な根拠である。
試論であるが、2つの根拠が考えられるのではないかと思う。
ひとつは、府県が広域的機能を果たすうえで、広く市町村への支援・関与や国との媒介の機能を持つことが必要だという理由である。広域的事務については、再三述べているように、他の事務領域と密接に関係しながら実施しなければ十分な実効性を持ちえない。このことはある程度行政事務一般にいえることであるが、広域的事務は、その性格上、他の事務に依存する要素が強く、自己完結的に実施することは難しい。したがって、こうした事務を担当する府県には、広く市町村への関与の機能を認める必要がある。
もうひとつは、市町村の住民は同時に府県の住民であり、府県はこの住民からの付託を受けていること、また市町村の区域は同時に府県の区域であることから、府県が市町村自治に関心を持ち、非権力的な手法の範囲内で関与等を行うことは当然であるという理由である。もちろん府県と市町村の事務を区分した以上、最終的には当該政府が決定、実施すべきであるが、住民にとっては府県と市町村が協調・連携して相互の事務を遂行することを期待していると考えられる。その意思を受けて府県が一定の関与を行うことは、一般的に認められてよい。自治法の「市町村を包括する」ということの意味も、このように解することができるのではないか。
前者の理由によれば、府県の関与はあくまで広域的事務に関係する範囲にとどまることになろう。これに対し、後者の理由によれば、包括的な関与が認められるが、国家と同様の機能を有することになり、市町村への関与が際限なく拡大するという危険も否定できない。さらに検討を要する点である。

 

 

 

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